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「私塾界」 2025年4月号

「私塾界」 2025年4月号

パーキンソン病患者が歩けるように
デイサービス利用者の“卒業”を目指す「リハプライド」

リハコンテンツ株式会社(千葉県船橋市)が運営する「リハプライド」は、リハビリ型のデイサービスだ。FCも展開しているリハプライドは、利用者の「回復」に焦点を当てているのが最大の特徴で、様々な方面から注目を集めている。塾との相性なども含め、代表取締役社長の山下哲司氏を取材した。

利用者の回復を目指す斬新で画期的なサービス
 食事や入浴の介助をおこなうなど、デイサービスは「お世話」をするのが基本だ。しかしリハプライドは利用者を回復させ、最終的には“卒業”を目指している。
「新たなメソッドを使って、業界の非常識に果敢に挑んでいます」と力を込めて話す山下氏。使用するのは、ドイツの医療規格に適合しているドイツ生まれのメディカル・トレーニングマシンで、これを6台使いながら「座る・立つ・歩く」に必要な筋肉へ刺激を与える。
 筋肉を「鍛える」のではなく、正しいポジショニングで軽い負荷をかけながら、同じ動作を反復。それによって、動かなくなった筋肉を再び活動筋へ戻していく。利用者からは「痛くない、疲れない、楽しい」と、好評だという。
 また、元気を取り戻すには「水・運動・栄養・自然排便」の四つがカギとなるが、なかでも重要なのが「水」である。
 水分が不足するとカラダを動かしづらくなるほか、食欲低下や便秘を引き起こす。さらに水分不足が進み脱水状態になると、活力や意識レベルの低下、転倒骨折リスクの上昇など、危険な状態を様々に引き起こしてしまう。
 特にノドの渇きを感じづらい高齢者は水分不足に陥りがちなことから、リハプライドでは水を1日1.5ℓ、半日の通所でも500㎖は摂るよう指導しているのも特徴だ。

歩行困難者が歩けるようになるなど回復例多数

 難病に指定されているパーキンソン病の原因はドーパミンの減少だが、ドーパミンは軽い負荷をかけたトレーニングを何度も繰り返すことによって、再び分泌量が増える。
 ある人はパーキンソン病を発症してリハプライドに通所。要介護2に認定されていたが、マシンを使ってトレーニングを繰り返したところ、9カ月で見違えるほどスムーズに歩けるようになった。
 このほかにもリハプライドには回復事例が多数ある。2021年と2024年の利用者の回復度合いを比べると、要介護3の軽度化は20%、要介護4に関しては50%、要介護5は60%と、目覚ましい回復ぶりが窺える。
 実際、病院暮らしだった人が家族と一緒に過ごせるようになったり、身の回りのことは最低限自分でできるようになったりなど、利用者のQOLは大きく改善している。

専門知識不要のため塾経営者も店舗運営が可能

 創業当初、山下氏はデイサービスのコンサルティングをおこなっていたが、主治医に「これ以上よくならないでしょう」と診断されると、本人も介護士もそれを鵜呑みにするケースが散見された。
 さらにデイサービスの報酬単価は要介護度が進むほど高くなるため、回復を目指す良心的な施設はなかなか見当たらなかった。
 そうした課題感を感じるなか、あるきっかけを機に他の施設とは一線を画すリハプライドを開業。現在は全国209店舗(直営20店舗、FC189店舗)を展開している。
 デイサービスは専門性が高い事業に感じられるが、FCを運営するにあたっては看護師、生活相談員、リハビリトレーナーが各1名いればOK。マシンのオペレーションやリハビリなどに関しては、本部の研修を受講した上で、担当のトレーナーが指導してくれる。
 塾長のような店舗責任者も必要となるが、店舗責任者に関しては実務経験や資格は不要で、塾業界からも十分に参入することが可能だ。
 集客は、店舗の半径3~5kmにいるケアマネジャーを通しておこなうのが一般的。個別に訪問したりニュースレターを配ったりしながら、先程のような改善例や改善の根拠を訴求する。そしてよいサービスだと感じてもらえれば、ケアマネジャーが受け持っている要介護者を紹介してもらえる仕組みだ。
 リハプライドの直営店では、開業前に20人以上のケアマネジャーを集めプレゼンをしているという。

損益分岐10カ月2年目で黒字化3年~4年で投資回収

 運営形態は「半日型」と「1日型」の2つがあり、半日型は午前と午後で利用者が入れ替わる。
 店舗面積は半日型であれば30坪ほど、1日型であれば60坪ほどが目安だ。採用活動や内装工事などを考慮すると、物件が決まってから4カ月ほどが開業の目安となる。
 内装工事費や加盟金、採用費や販促費、車両費など、全て込みの初期費用はおよそ1500万円で、登録70名の利用者がいれば、10カ月目には損益分岐点をクリアできる。
 定員18名~20名で稼働率80%を維持していけば2年目以降の利益は年間約1000万円となり、机上の計算であるが、初期投資と運転資金を3.5年から4年で回収できる計算だ。
 山下氏は「学習塾との相性はかなりいいと思います。すでに加盟してくださっている塾の方もいらっしゃって、大変好評です」と話す。
 前述のように、リハプライドでは利用者の卒業を目指してはいるものの、実際には1カ月ほど休んでしまうと体は元に戻りやすい。そのためコロナ禍の時も積極的に通う利用者は多く、経営的なダメージは少なかったという。
 少子化は避けようのない環境変化だが、リハプライドのような高齢者事業に取り組むことで、塾は新たな活路を見出せるだろう。