リハプライド・コラム
パワーリハビリは、 筋力トレーニングではありません!
私たち『リハプライド』が取り入れている
《パワーリハビリテーション》(以下、パワーリハビリ)は、
日本自立支援介護・パワーリハ学会理事長であり、
『リハプライド』の顧問でもある、
竹内孝仁教授(国際医療福祉大学大学院・医学博士)が開発した、
「老化を効果的に食い止め、
動かしづらくなった筋肉を再び動かしやすくする」という、
【維持期】に理想的な自立支援介護のためのリハビリ・プログラムです。
“パワーリハビリ”とは?
パワーリハビリは、医療・福祉の先進国であるヨーロッパの中でも、
特に厳格な安全基準を設けているドイツで、
メディカル機器としての承認を受けた、
リハビリ専用のトレーニングマシン6台を使用します。
各マシンでは、座位の正しいポジショニングで、軽い負荷をかけ、
同じ軌道の正確な運動を繰り返し行うことによって、
「座る・立つ・歩く」 という3つの基本的な日常動作に必要な筋肉~
“動かさないことで、動かなくなった筋肉(不活動筋)”~を再び活動筋へと戻し、
徐々に無理なく動かせるようにしていきます。
パワーリハビリのポイントは“軽い負荷”にあり、
マシントレーニングが心臓に与える負担は、
入浴よりも少し軽い程度にとどまります。
これが重い負荷になれば、
一般的な筋力トレーニング(筋力強化)となって、
“不活動筋の再活性化”にはつながりません。
「パワーリハビリは、筋力トレーニングではない」のです。
高齢者における筋力トレーニングの危険性
竹内教授は、
「高齢者にとって筋力トレーニングは非常に危険であり、
百害あって一利なしだ」
と言われています。
では、筋力トレーニングのどのような点が
高齢者にとって危険なのでしょうか。
高齢者における筋力トレーニングの危険性は、
主に以下の3点となります。
①『骨折・関節損傷の危険性がある』
高齢者の多くは骨粗しょう症になっており、
特に要介護者は、普段の活動性が低いため骨粗しょう症も重く、
筋肉を経て骨や関節へ強い負荷が掛かると、
骨折や関節損傷の危険性が高まります。
②『脳梗塞、心筋梗塞の危険性がある』
力を入れて手足を動かしたり、重い物を持ち上げようとするとき、
人は自然に息をこらえて、力を出そうとします。
いわゆる“いきむ”と呼ばれる反応です。
こうすると肺の中の圧力が一気に高まって、
交感神経が刺激され興奮状態になります。
交感神経の興奮は、全身の血管を収縮させ(ヴァルサルヴァ反応)、
血液の流れを止めてしまう恐れがあります。
この反応が脳に起これば脳梗塞、
心臓に起これば心筋梗塞になります。
③『頻脈・不整脈の危険性がある』
筋力トレーニングは、脈拍数が180以上/分になる運動です。
このような激しい運動をインターバルで繰り返し、
競技能力を向上させるのです。
しかし、医学的には脈拍数120以上/分を頻脈と呼んで、
病的な状態として扱われます。
また高齢者の心臓は、激しい運動に応えるだけの力を失っており、
規則正しいリズムが乱れて不整脈の状態になりかねません。
不整脈は、血液の中に血栓が生じて脳や肺に飛び、
脳梗塞や肺梗塞を引き起こす可能性があります。
“安全性”と“効果”が確保されているパワーリハビリ
「軽い負荷でマシントレーニングを行う」ことは、
“不活動筋の再活性化”を目的とするパワーリハビリにおいて、
最も大切な要件になります。
特に高齢者の場合は、日常生活にそれほど問題がなく、
治療などをしていない場合でも、
心血管系や肺の老化による機能低下が潜んでいる場合もあります。
このことを無視して、筋力トレーニングを勧めるのは、
高齢者や要介護者の医学的・生理学的な安全性を考慮しない、
危険な行為と言っても過言ではありません。
その点からも、パワーリハビリは高齢者や要介護者において、
トレーニングそのものの“安全性”と“効果”が確保されている、
画期的なリハビリ・プログラムといえるのです。